過蓋咬合(ディープバイト)を放置するリスクとは?原因や治療法も解説
2025/04/20

こんにちは、港区(三田・赤羽橋)の矯正歯科専門医院、矯正歯科クリニック三田赤羽橋です。
不正咬合とは歯並びやかみ合わせのバランスが崩れている状態のことであり、出っ歯や受け口、開咬、叢生といった種類に分けられます。
そのうちの一つである過蓋咬合(かがいこうごう)は、上の前歯が下の前歯を大きく覆っている状態です。
過蓋咬合は治療をしないままでいると生活の質に悪影響を及ぼす恐れがあるため、早期発見と対応が必要です。
本日は、過蓋咬合のリスクと原因、治療法を解説します。
過蓋咬合とは

過蓋咬合は「ディープバイト」とも呼ばれ、上下の前歯のかみ合わせの異常を指す用語です。
整ったかみ合わせの場合、上の前歯は下の前歯を1/4から1/3程度覆う状態にあります。
これ以上の面積で下の前歯が上の前歯によって隠されている状態が、過蓋咬合です。
歯科ではこのようなかみ合わせの深さを「オーバーバイト」という言葉で表しており、覆う割合に応じて軽度(50%程度)、中等度(75%程度)、重度(100%近く)の3段階に分類します。
反対に、開咬のような上下の前歯がかみ合わない状態はマイナスで表され、このオーバーバイトの割合が通常よりもプラスになっているのがディープバイトです。
過蓋咬合の原因
歯の生え方の問題
過蓋咬合の主な原因の一つとして挙げられるのが、歯の生え方の問題です。
上の前歯が前方に傾斜しすぎていると、それに応じて下の前歯が隠される率が高くなります。
逆に、下の前歯が後方に傾いている場合も同様です。このような歯の傾きは、生まれつきのものもあれば、早期の口腔習慣によるものもあります。
また、前歯が過度に伸びている状態や、奥歯が正常に発育していないために高さが不足するケースもあります。
これらの条件が組み合わさることで、過蓋咬合が生じやすくなります。
あごの位置や大きさの問題
歯の位置だけでなく、あごそのものの位置や大きさも過蓋咬合の要因です。
具体的には、上顎が前方に突出している、あるいは下顎が後方に位置している場合、かみ合わせのバランスが崩れ、過蓋咬合が生じる可能性が高まります。
また、上顎が下顎よりも相対的に大きく発達したか、逆に下顎が十分に発育しなかったケースも同様です。
これにより、正しい位置関係を保てなくなり、結果として歯が不自然に重なり合ってしまうことがあります。
歯並びやかみ合わせに影響を与える癖・習慣

日常生活の中で無意識に行っている癖や習慣が、歯並びやかみ合わせに悪影響を及ぼすこともあります。
例えば、口呼吸では舌の位置が下がった状態になることが多く、舌が歯に触れることで歯並びを悪化させる要因となります。
また、無意識のうちに行う食いしばりや歯ぎしりもかみ合わせを悪化させます。
幼少期から指しゃぶりを続けることで、前歯に過度の力がかかり、結果として歯の配列やかみ合わせが乱れるケースもあります。
頬杖をつくなどの日常的な習慣も、長期的に見れば歯並びに影響を与えることがあるため注意が必要です。
乳歯の早期脱落

乳歯の早期脱落も過蓋咬合を引き起こす可能性があります。
乳歯は、後に生えてくる永久歯のガイドとしての役割を果たしており、そのタイミングがずれることでかみ合わせの問題が生じます。
例えば、大きな虫歯により乳歯を早期に失った場合や、生え変わりの時期が通常よりも早い場合、乳歯が失われたことで周囲の永久歯が正しい位置に生えず、結果として過蓋咬合をはじめとした不正咬合が生じやすくなります。
過蓋咬合を放置するリスク
歯のすり減り

過蓋咬合では上下の前歯が常に接触するため、歯がすり減るリスクが高くなります。
歯のすり減りが進行すると、歯のエナメル質が失われ、内部の象牙質が露出する危険性が高まります。
これにより、歯の感度が高くなり、特に冷たいものや甘いものを摂取した際に痛みを感じやすくなります。
また、すり減ることで歯の高さが低くなり、さらなるかみ合わせの悪化につながるという悪循環が生まれます。
歯ぐきへのダメージ

過蓋咬合により歯が力を受け続けると、歯ぐきに圧力がかかりやすくなり、炎症を引き起こしたり腫れたりしやすくなります。
長期的には、歯ぐきが後退し、審美的に問題が生じるばかりでなく、歯槽骨の減少や歯周病の進行といったさらなるリスクを招くことになります。
かみ合わせ・歯並びの悪化
過蓋咬合の状態を放置すると、ほかの歯並びやかみ合わせの悪化を招くことがあります。
これにより、より複雑な歯科矯正が必要となる可能性も出てきてしまいます。
顎関節症

過蓋咬合によってあごの関節に過度の負担がかかり、顎関節症を発症するリスクが高まることがあります。顎関節症は、あごを動かすときに痛みが生じたり、音が鳴ったり、さらには開口制限が生じる状態です。また、これらの症状が慢性的に続くと、頭痛や肩こり、首の痛みにもつながる可能性もあります。
詰め物やかぶせ物の脱離や破損
かみ合わせが不均衡になることで、特定の歯に過度な力がかかり、詰め物やかぶせ物が脱離したり、破損したりすることがあります。
過蓋咬合の治療法
ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、主にセラミック製のブラケットとワイヤーを使って、歯の位置を整える治療法です。
幅広い症状に対応が可能で、軽度から重度までさまざまな症例の治療法として用いられます。
過蓋咬合の場合は、アンカースクリューと呼ばれる固定用ネジを用いたり、外科的処置を併用したりして治療を行うこともあります。
治療期間は2~3年ほどが目安ですが、重度の場合などは3年以上かかることもあります。
マウスピース矯正

マウスピース矯正は、目立ちにくく取り外し可能なマウスピース型の矯正装置を使用して行う矯正治療法です。
過蓋咬合の場合は主に軽度の場合に使用されるため、治療期間は2年ほどとワイヤー矯正よりは短くなる可能性が高いです。
また、過蓋咬合の治療では、バイトランプと呼ばれるでっぱりがマウスピースに設置されることがあります。
これは上の前歯の裏側部分に設置されるでっぱりで、かみ合わせた際に上の前歯が圧下するよう力を加えるために用いられるものです。
まとめ
過蓋咬合は、日常の習慣や歯の生え方、骨格の問題などが絡み合って起こります。
これを無視すると、歯のすり減りや歯ぐきへのダメージ、顎関節症やさらなるかみ合わせの悪化といったリスクが生まれます。
気になった段階で歯科医師による診断と治療を受けるようにしましょう。
歯は常に動いているため、軽度の段階で治療を受けることで、治療期間や治療費を抑えることができ、希望に合った治療法を選べる可能性も高くなります。
矯正歯科クリニック三田赤羽橋:https://orthoclinic-mita.com/
〒108-0073 東京都港区三田2-10-2 三田耀ビル 1F
電話:00-0000-0000
交通アクセス
電車でお越しの方:J三田・赤羽橋各駅より徒歩7分